原町無線塔、朝日座など福島県南相馬市原町区(旧原町市)の文献を公開

62B 平躰國友 昭和二十年八月十日の原町空襲で戦死。17歳。

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昭和20年7月22日(推定)の夏だより

残夏の候とは云ふものの、寒気身に感ずる日の続く事五日余り、天神は気候を取違へたのかと思はさしめる事、縷々寒さの為につい焚火をして傍に寄り付くさまであります。又一珍事として(過言かもしれませんが)、当地方の麦畑は今だに刈取られず連日の梅雨の如き雨に打たれて穂を垂れ「時」を忘れたかの如くに見受けられます。当原町の気候を表示するに前記の二者がありますが故郷の方はどの程度でせうか? やはり例年よりは寒いのでせうか。稲作は如何でありますか、又海の幸もどの様な物で漁場を賑はして居りますか、自分は原町で御蔭で国宝的存在の「相馬の野馬追」を見ることが出来、方寸のカメラに深く濃く映じました。
昔の武士、其の儘の勇姿に接して。

昭和20年8月17日付け 上官から遺族への手紙 空襲死亡の状況

今般御令息國友君御戦死に付ては衷心より哀悼の意を表し候 之も偏(ひとへ)に小兵の不注意より生じたる事と責任を痛感しご遺族の方にお会はせする顔なく罪萬死に値するものと深く愧(は)ぢ入り申し候
當十日は払暁より情報入り曹長より任務に就き八寸角の柱を組合はせたる頑丈なる壕の中にありて対空射撃隊に情報傳達の任に服し居りたる折柄九時五分F六F三機編隊にて急降下し超低空にて爆弾投下し来りたる最後尾の一機が投下したる五百キロの初弾は不運壕の板壁を貫き爆発したり
之を認めたる対空射撃隊員は「無線がやられた」と叫び傍(かたわら)に到り「オーイオーイ」と連呼しつゝ円匙にて弾丸雨霰の中を懸命に掘起したる処分隊長たる御令息の上半身掘り出したるも既に爆風にて一間程飛ばされ片手に受話器を持ち片手に器材を抱へ眠れる如き穏やかなる顔にて何等の損傷を受けず即死したるものと覚しく呼べど應へず、此時攻撃激しく熾烈となりし為掘出中止の已むなきに至り同日夕刻攻撃止みたる後戦友一同にて屍体搬出し得たる次第なり

平躰兵長は平素温厚篤実戦友間人望厚く責任感旺盛、常に学理を探求一面部下を愛する念深く、夜間は常に小兵の傍らに就寝し居り、或る時は寝癖悪く手を小兵の方へグンと伸ばし寝返りを打ちたる為、頬を打たれ微苦笑したる等の思い出もあり、時には農学校時代満州へ行きたる話、其の他郷里の話等淡々と語り一度家に帰りたいと申し居り候も実現に至らず残念に存じ候、兎に角何処よりても非の打ち所なき模範兵にて前途を嘱望し居り、肉親の弟の如く思ひ居り候事とて此度の事は正に晴天の霹靂にして総身の力全く失せたる感致し居り候。

御戦死の情況右の通りに有之、小兵分隊長としての責任痛感致し居り候も今は尊くも祖国の為華と散りたる事呼べど帰らぬ事に候へば諦め難きを諦め候て冥福を専一に御祈り被下度、其内折を見て御訪問致し当時の情況等仔細に言上致すべき存念に候。

右御詫び傍々御報告迄如竹御座候

昭和二十年八月十二日
宮城県気仙沼町
斉藤卓郎
平躰友一 殿

軍事郵便 8月17日付け消印 友一は國友伍長の父親

注。円匙(えんぴ)とは:

軍隊でのシャベル[編集]

シャベルは戦場において、特に第一次世界大戦以来、飛び交う銃弾や砲爆弾の破片から生身の兵士が命を守るための塹壕を掘る道具として、また自らの排泄行為のために地面に穴を掘るための道具(排泄物の臭気を巻き散らさない事は戦場の住環境を守るためだけでは無く、敵側に気配を察知されないためでもある)として必需品となった。ときには白兵戦の際の打突武器としても有用である。第二次世界大戦の時ソビエト軍兵士と赤軍パルチザンもシャベルを白兵武器として使い、現代のロシア軍スペツナズもシャベルの使う戦闘技術を訓練している。このため歩兵を筆頭とする兵士の個人携行物となっているほか、多くの軍用車両の装備品の一つとしてシャベルが採用されている。これらは車内に納められるか車外にツルハシジャッキなどとセットでクランプ留めにされ、車両がスタックした場合や陣地を構築する際に活用される。

日本陸軍では土木工事用の大きなシャベルを「大円匙(だいえんぴ)」、携行用を「小円匙(しょうえんぴ)」と呼び分けていた。大円匙は工兵が使用するものであり、工兵達は歩兵の携帯する小円匙を「耳かき」と呼んで軽んじてたという。兵士の個人携行物の一つである小円匙は、柄の中ほどと、刃の上側(柄の取りつけ部付近)に孔が設けられており、ここにロープを通して肩に担えるようになっていた。柄頭部分に取っ手は無いが先端は丸く成形されている。折りたたむことはできないが、柄は外すことができ、携行時は二つに分離して背嚢に下げる。なお1930年代後半に制式採用された九八式円匙の刃部は防弾鋼鈑で作られ、刃中央部の孔を覗き穴として、簡易な防盾)として使用できるようになっていた。

 

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