夜の森桜並木と半谷翁

民友2017.4.20

 日本一の桜並木で知られる富岡町夜の森は、南相馬市小高生まれの半谷清壽翁が政界を潔く去って「土に親しみ農に生きよう」と、旧相馬郡太田村生まれの肥料商但野芳蔵とで荒野の夜の森を購入して入植した。百年前に桜の苗三百本を植えたのが最初だ。
 この逸話を昨年四月の民友「窓」に載ったことで半谷翁の四代目子孫孝壽氏と面会でき、南相馬市博物館に清壽が百年前に創業した小高銀砂工場(ガラス原料精製施設)の近代産業遺物をそっくり寄付して頂いた。
 但野翁の伝記を遺族から頼まれてまとめたのが昭和五一年のことで、この時夜の森駅前の但野家正面に記念碑が建立された。芳蔵翁は自分の土地を国鉄に寄付して村人と駅を誘致し、村人挙げて駅舎を大正期に建設した。
 夜の森駅はつつじの名所として有名で、除染で伐採されたが世論の力で復活する。
 四月一日に開通した常磐線の桃内駅も、昭和二三年に旧福浦村長のイタリア音楽家天野秀延が土地と材木を提供し村人自身が駅舎建設した。
 原発は半世紀で破滅したが桜並木は百年後も健在で故郷の花物語の絆だ。