邯鄲の夢 世の栄華は久しからず

1月13日の新年恒例の「歌会始の儀」で天皇が「邯鄲(かんたん)の鳴く音(ね)聞かむと那須の野に集(つど)ひし夜(よる)をなつかしみ思ふ」と詠んだ。
邯鄲の連語として『邯鄲の夢』という故事が有名で、出世を望んだ青年が中国・邯鄲で出会った道士から栄華が思いのままになるという枕を借り、仮寝をすると、栄枯盛衰の50年の夢を見たが、覚めればつかの間のことだったという内容。
御製。鈴虫に似た細長く淡黄緑色の1・5センチほどの、オスはルルルルルルという連続音で鳴く虫。那須の御用邸で親しき者らとともに虫の声を愛でた夜をなつかしく思い出す、というゆかしき回想に託して、天皇は安倍総理の絶頂を中国故事の邯鄲の夢で連想される「権力の夢というものははかないもの」だと喝破した新年の歌で諭したともっぱらの永田町の評。たしかに、現今政治の力関係はともかく。和歌の道を古来のたしなみとする日本文学の伝統力はすごい、と感嘆する。

デジタル大辞泉〔出世を望んで邯鄲に来た青年盧生ろせいは、栄華が思いのままになるという枕を道士から借りて仮寝をし、栄枯盛衰の五〇年の人生を夢に見たが、覚めれば注文した黄粱(こうりよう)の粥(かゆ)がまだ炊き上がらぬ束の間の事であったという沈既済「枕中記」の故事より〕
栄枯盛衰のはかないことのたとえ。邯鄲の枕。邯鄲夢の枕。盧生の夢。黄粱一炊の夢。黄粱の夢。一炊の夢。