脳溢血による右腕の障害を乗り越えて左手のピアニストで知られる舘野泉さんは「ゆめハット」南相馬市民会館の名誉館長。30日に卒寿記念のコンサートを開催した。実家の姉からチケットを貰ったので夫婦で出向いた。平成16年に開館した同館のピアノ選定の助言から関わり、世界的な演奏家が311の惨禍を乗り越えるようにと南相馬を激励のためしばしば支援演奏をしてくださっている。
 仙台藩の7代続く能楽師の家系に生まれ、ピアニストでフィンランド政府から公認されてヘルシンキに暮らす。
 東京シテイフィルハーモニーオーケストラの管弦楽を引き連れて「80歳の挑戦」と題し池辺晋一郎、ヒンデミット、シュタール、ラヴェルの4つのピアノ協奏曲を披露。すべて左手のピアノために作られた曲で、ここが津波と原発事故の被災地であっても力強く生きて欲しいとの強烈なメッセージだった。
 最後の客席からのスタンデイングオベーションに応え、泉さんはカッチーニの「アベマリア」で締め括った。多くの犠牲者への追悼と遺族への激励の誠が響いた夕べだった。