「暮らしの手帖」と母の青春

 母が若かった頃に愛読していた「暮らしの手帖」の出版社の創立事情から、主人公の自伝に編集者花森安治をモデルにした逸話が絡んで朝ドラ「トト姉ちゃん」に目が離せない。
 衣食住のプロである主婦目線の商品テストと商業広告を載せない編集方針。これはNHKの理想でもあろう。
 記憶の中の雑誌特集に、見慣れぬ日本人の軍隊特集に奇妙さを感じたのを覚えている。少年漫画雑誌には旧日本軍のゼロ戦、戦艦大和の礼賛特集ばかりだったから、婦人子供服や料理記事に交じってアメリカ軍の装備をした日本人の写真グラビアに戸惑った。
 今から考えると、朝鮮戦争の後に警察予備隊を経て自衛隊が生まれた頃の、最も国際事情に対応した特集を、あの主婦向け家庭雑誌でやっていたことを再認識して、心底から敬服する。
 九十歳になった母の青春を毎朝見るようで、主婦の強い味方「暮らしの手帖」実録ドラマは戦後女性史として興味深い歴史の追体験のひと時だ。8.20