近所で二日続いて火事があり、二人の女性が亡くなられた。
一軒は正午過ぎ。久しぶりに幾つものサイレンが近づいて来るのを聞いたので台所を開いてみたら真正面にもくもくと煙がたちこめていて、ごく近所の川向かいの二階建て。家人や隣人と火事の怖さについて語り、テレビニュースを見て翌日に市内の通院先で看護師らと噂し合った。
ところがその晩、わが家の貸家の隣の家が全焼し、火事見舞いに駆けつけたら庭先は黒い煤がいたるところに燃え落ちていて、焼け焦げたきな臭い空気がたちこめたままだった。
普段から立ち話を気軽に交わした隣人の立派な邸宅が、一瞬にして焼失して廃墟になっているのを見上げて、呆然自失した。
自分の少年時代にも離れの風呂場を小火で焼失させた苦い思い出がフラッシュバックした。不注意に遊びに目を離していた隙に、火口から脇の薪に燃え移ったためだった。
あわてて倉庫の石油の入った一斗缶を思わず素手で外に持ち出したことで、母は英雄談にしてくれたのではあるが、実のところ風呂炊きは子供の私の役目で責任は私にあった。
消防署や警察署の厳しい説諭を黙って負ってくれた母には、今更ながらに申し訳ない。
それにしても隣人は母親を失ってどれほどのショックだろう。
死者まで出た近所の火事に、ことさら「火の用心」を呼びかけたい。