神秘的だった「TOUCH」と痛快無類の「24」シリーズ

TouchというTVシリーズを先に見たので。キーファー・サザーランドという役者については、こっちの印象が先にあった。「24」は、そのあとで半年かかってバックナンバーを全部みた。
CTU(対テロ・ユニット)ロサンゼルス支部のバック・バウアーはもっとも困難な対テロ国家機関の現場捜査官として、大統領暗殺、核攻撃、生物化学兵器など、あらゆるアメリカ攻撃の最前線で不屈の精神的肉体的なねばりで、ついには勝利を勝ち取る。愛する人も失い、信頼を寄せる大統領に裏切られてさえ。組織と自由人との葛藤の中で、誠実の限りをつくして少数の献身的な仲間によって支えられる。理解者が少なくとも、彼こそが正しい、という視点が視聴者が共有するところが人気の秘密なのだろう。上司のあほな命令や、邪魔ばかりされながらも、自由自在に工夫と忍耐であらゆる困難を突破してゆく痛快さ。
Touchのマーチン・ボームは、妻を失った失意のドン底にある新聞記者が、残された11歳の息子が「無言症」という障害によって他者とのふれあいを拒絶していることに直面しながら、息子が偏愛する数字が不思議な宇宙との連関で、世界各地の運命と他者とをオムニバスでおおきな調和にみちびく、自分の宿命にかかわることを身を以て知るようになる。SFミステリーともいうべき、新たな境地だが、役作りは同じ彼の誠実さと精力的な活動力によって、ぐいぐいとひっぱってゆく。
40年ちかく南相馬市のあほな教育委員会やら議会やらに邪魔されながら、地元の郷土史の最も重要な仕事を独力で開拓し著作を描き続けてきた自負心と、少数の友人の理解を糧にして続けて来た我が身を、ジャック・バウアーやマーチン・ボームに仮託して見て来たのだろう。
重要な仕事というのは、大組織がやるのではなく中枢の小数がやるのだ。予算額や委員会が事業をやっているのではない。
痛快さには「独力」と「至誠」が含まれる。政治的な都合や、保身や、裏切りや、嫉妬が、彼らの壁となって立ちはだかるが、ついにはこれを打ち破って、正義を実現する。
それにしても、悪人たちは「免責を伴なった法的保護を条件にした証言」か「弁護士を呼んでくれ」という最後の決め台詞がいかにもアメリカらしい。
2015.6.24